彼女のネット不倫は3年目に突入した。
僕は離婚の準備を進めていた。
すべてを子供たちに話なし、まずは別居することになった。
そこで義弟が出てきた。
すべてわかってしまった。
彼らは「妻はネットで遊んでいるだけ。そんな遊びも受け入れられない夫は甲斐性なし。」
だれも妻の罪を認めない。
ましてや、しょうもない厄介毎を起こすなと、
こそこそと広まる話。
つまるところ、僕が我慢すれば、すべて収まる。
障害のある妻を今更受け入れる気のない実家。
人に責任を押し付ける義弟。
苦しむ子供たち。
苦しい日々から抜け出しても、
さらに苦しい日々が続くと初めて分かった。
ならば、僕が幸せをあきらめればいいのだ。
もう二度と、暖かい日差しの中、愛する人に手を引かれ
街中を散策するする幸せな日々は、手に入らないのだ。
そうすれば、周囲はすべて納得する。
問題は起こらない。
何も変わらない日々が続き、
吐き気を覚える義弟の傲慢さを感じることもない。
自分の娘の罪を認めない義母の無神経を嫌悪することもない
すべては僕の心の中に。
深い深い奥底に、沈めてしまえばいい。
どうせ死ぬんだ。
これから、好きな酒を浴びるほど飲み、
楽しく笑いながら、過ごせばいい。
小さな画面で、たくさんの映画を堪能し、
来世に期待を寄せればいい。
子供の独り立ちまで頑張れば、
奴らは立派に歩いて行ける。
妻は寄り添う人を、またネットで見つけるだろう。
僕の物語は、これで終わりなのだ。
これが僕が選択して導いたエンディングなんだ。
ようやく気が付いた。
もう挽回できない、バッド・エンディングのルートに
入っていたんだ。
これだけゲームやってきたのに、
自分のステータスもわかってなかった。
残念だったね。オレ。
とうさん、かあさん、ごめん。
ああ、自殺なんかしないよ。
大丈夫。あきらめてしまえば、大丈夫。
これからの日々には期待しないから、
ただ目の前の楽しいことを選んでいこう。
どうせその先にも幸せはない。
それでいいんだ。
その日暮らしだってできない戦火の子供たちもいるんだから。
僕なんてまだまだいい人生だよ。
ビリーバットじゃないけど
もっと前に
「ちゃんと願えば、願いは叶う」って知りたかったよ。
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